死亡事故で示談すると、その賠償金はどのように分ければ良いのでしょうか?
賠償金は相続財産の1種なので、基本的に遺族が法定相続割合に応じて分配します。ただその際、具体的にどのような手続きによってどのくらいの割合で分ければ良いか、分からない方もいるでしょう。
今回は、損害賠償金の相続の方法について、弁護士が解説していきます。
このページの目次
1.損害賠償金は法定相続割合で分けるのが基本
相手の保険会社から損害賠償金が支払われた場合、受け取った賠償金は相続人が「法定相続割合」に応じて分配します。法定相続割合とは、民法が定める各相続人の相続財産取得割合です。
賠償金も相続財産の1種なので、受け取ったら法定相続割合に従って分け合うのが基本の対応となります。
2.民法の定める法定相続割合
民法の定める法定相続割合は以下の通りです。
- 配偶者のみ…配偶者が100%
- 配偶者と子ども(孫、ひ孫などの直系卑属)…配偶者が2分の1、子どもや孫などが2分の1
- 配偶者と親(祖父母、曾祖父母など)…配偶者が3分の2、親が3分の1
- 配偶者と兄弟姉妹(甥姪)…配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1
- 子どものみ…子どもが100%(子どもが複数いたら人数分で均等に割り振る)
- 親のみ…親が100%(両親存命であれば50%ずつ)
- 兄弟姉妹のみ…兄弟姉妹が100%(兄弟姉妹が複数いたら人数分で均等に割り振る)
3.賠償金分割方法の具体例
- 配偶者と2人の子どもが相続人、損害賠償金を4,000万円受け取った事案
この場合、配偶者が2分の1、子ども達はそれぞれ2分の1×2分の1=4分の1ずつ相続します。そこで配偶者が2,000万円、子ども達はそれぞれ1,000万円ずつ賠償金を受け取ります。
4.話し合いによって別の割合にすることも可能
賠償金は相続人が法定相続割合によって分けるのが基本の対応ですが、話し合いによって全員が合意すれば別の割合で分けることも可能です。
たとえば配偶者と親が相続人になる場合において、親が自分の相続分をすべて配偶者に譲り配偶者が100%相続してもかまいません。
5.相続人に未成年がいる場合
相続人の中に未成年がいる場合、特別な手続きが必要なケースがあります。
たとえば配偶者と未成年の子どもが相続人になる場合、子どもの親権者は配偶者です。その配偶者が親権者としての権限を行使して遺産分割協議を行い、子どもの取得分を0にして自分の取得分を100%などにしたら子どもの権利が害されます。
このように相続人同士の利害関係が相反する場合、子どもの親である配偶者がそのまま子どもを代理して遺産分割協議を進めることができず、家庭裁判所で子どもの「特別代理人」を選任する必要があります。その際、子どもの権利を不当に害さない内容の遺産分割協議案を提示して認めてもらいます。特別代理人が選任されたら、提出した案の通りに遺産分割協議をまとめ、賠償金を分配できます。
当事務所では、交通事故のみならず相続対策にもしっかり取り組んでおります。相続方法に迷われたら、お気軽にご相談下さい。