配偶者からDV(家庭内暴力)を受けているなら離婚原因となりますし、慰謝料も請求できます。
ただしDV被害が大きくならないよう、離婚の手続を進める際、慎重な対応が要求されます。
以下ではDV被害を受けている場合の離婚方法をご説明していきます。
このページの目次
1,DVは離婚原因となる
DVは、一般的に離婚原因になると考えられています。民法は5つの裁判上の離婚原因を定めていますが、DVはその中で「その他婚姻関係を継続し難い重大な事由」に該当するからです。
ただし離婚が認められるには、DVの程度がひどいケースである必要があります。
毎週殴る蹴る、髪の毛を引っ張られて引きずり回される、しょっちゅうけがをしているなどの事情があれば離婚できる可能性が高いといえますが、年に1回程度軽くたたかれる程度では離婚が認められない可能性が高いといえます。
2.DVで請求できる慰謝料の相場
DVで離婚する場合、相手に慰謝料を請求できます。暴力によって相手を従わせる行為は人権を無視し、精神的苦痛を味わわせるものだからです。
DVによる慰謝料の金額はケースにもよりますが、だいたい50~200万円程度となっています。
暴力の頻度や程度、行われていた期間、被害者が受けたけがの内容などによって金額が異なります。
3.DVで離婚する際の注意点
3-1.相手から暴力を振るわれないようにする
DVを理由に離婚する場合、離婚の話を持ちかけると相手が感情的になって暴力を振るう危険があります。そこで暴力による被害を避けながら離婚を進める工夫が必要です。
3-2.別居して調停を申し立てる
相手と直接話をしたら暴力を振るわれそうな場合、まずは別居をして調停を申し立てることをお勧めします。調停では調停委員が間に入るので、直接顔を合わせる必要がなく、危険性が低下します。
3-3.調停ではDVに配慮してもらえる
DV事案の場合、離婚調停でも特別の配慮をしてもらえることがあります。たとえば相手とは別の部屋に待機して調停委員が相手の部屋とあなたの部屋を往復するなどです。このようにすれば、相手がこちらの待合室にやってきて暴力を振るわれる心配がありません。
調停調書などに表記する住所も、婚姻時の住所にしてもらえるので現住所を知られる心配はありません。
3-4.住民票の取扱いについて
DV事案で相手と別居したとき、住民票を異動すると相手に調べられて押し掛けられるかも知れません。そのようなときには、役所で「閲覧制限」の手続きをしてもらうことが可能です。そうすれば、相手はあなたの住民票を取得できません。
または離婚が成立するまで住民票を異動させないのも1つの対処方法です。
3-5.保護命令について
別居後、相手が追いかけてきて暴力を振るう心配があるなら保護命令を申し立てましょう。保護命令とは、DV被害者を守るために裁判所が発してくれる命令です。保護命令により、相手はあなたに接近することを禁じられます。違反して接近すれば警察に逮捕されます。
DV被害者の方がお一人で離婚手続きを進めるのは、物理的にも経済的にも精神的にも簡単なことではありません。弁護士がサポートいたしますので、まずは一度、ご相談下さい。